作成日:2019/10/22
極度額(上限額)の定めのない個人根保証契約の民法改正
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2020年4月より民法改正により個人根保証契約についてのルールが変わります。
「根保証契約」とは、一定の範囲に属する不特定の債務について保証する契約をいいます。例えば、保証人となる時点では、現実にどれだけの債務が発生するのかがはっきりしないなど、どれだけの金額の債務を保証するのかが分からないケースをいいます。(法務省ホームページより)
保証人は債務が分からないため、想定外の債務を負うことになりかねません。
民法改正では、保証人が支払の責任を負う金額の上限額(極度額)を定めていない根保証契約は無効になるという改正です。
この改正により、今後の身元保証について見直していく必要があります。
損害賠償と身元保証書
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採用内定から入社にかけて提出する書類のなかに、身元保証書を入れている企業も多くみられます。
身元保証書は、労働者が企業に損害を与えた場合に、その損害賠償を保証する性質のものです。
損害賠償額を予定することは労働基準法第16条で禁止されていますが、実際に受けた損害について、損害賠償を請求することは可能です。
例えば、労働者が故意または過失により企業の備品等を破損した場合に実際に受けた損失額を労働者に損害賠償請求をすることは可能ですが、備品を壊したら1つにつき賠償額〇〇万円と予定することはできないということです。
労働者が与えた損害を身元保証人が連帯して賠償を負うことになりますが、
上記の通り、根保証契約の改正により、身元保証書に極度額を定めていないものについては無効になります。
なお、身元保証契約は期間を定めていない場合には3年、定めたときは5年が最長期間となります。(自動更新は無効)