働き方改革の考え方
働き方改革の考え方
「なぜ今、働き方改革が必要なのですか?」というご質問を受けることがあります。

法律で決まったからやるしかない?
働き方改革なんてやってたら潰れちゃう?
という声も聞こえてきますが、はたして働き方改革は中小企業にとって
マイナスなのでしょうか?

2018年度の人手不足関連倒産が前年度比28.6%増の400件となり、
2013年度の調査以来、人手不足関連倒産が過去最多だったと発表されました。
(東京商工リサーチ調べ)

内訳を前年度比で見てみると、以下のように「求人難型」「人件費高騰型」の増加が際立っています。
・体表者の死亡、引退などの後継者難型7.6%増
・人手確保が困難で事業継続に支障をきたした求人難型162.0%増
・人件費高騰から収益が悪化した人件費高騰型114.2%増
・中核社員の転職・独立により事業継続に支障が生じた従業員退職型が38.8%増

中小企業の経営における最大の課題は「人材の不足」にいかに対応していくかであると考えられます。
働き方改革関連法が法律で決まったからしょうがなく取り組むというのではなく、
人材不足倒産を引き起こさないために、働き方改革に取り組まざるをえない状況であると言えます。

そこで、このページではどういった視点から、なんのためにやるべきなのか、
働き方改革についての総論をご説明します。

(1)働き方に対する意識の変化
(2)上昇し続ける有効求人倍率
(3)急激に減少する労働力人口
(まとめ)中小企業が存続するための条件


(1)働き方に対する意識の変化

 
 @CMは時代を映す鏡だと言われますが、バブル全盛期のサラリーマンなら誰もが思い出
  すあのフレーズから


    24時間戦えますか?(1988年、昭和63年)
    くやしいけれど、仕事が好き(1994年、平成6年)

   仕事ならいくらでもあった時代、身を粉にして働いても報われた時代
   「モーレツ社員」 「企業戦士」
   ターゲットは「パワフルなサラリーマン」



 Aバブル経済崩壊後、ターゲットは「いやしを求めるサラリーマン」に変化

    その疲れに、リゲインを (1996年、平成8年)
    たまった疲れにリゲイン (1999年、平成11年)
   
   リストラ=事業の再編成ではなく、解雇の意味で使われ流行語に
   パワフルなサラリーマン像 ⇒ サラリーマンは疲れる、報われない



 Bバブル崩壊後の疲れた父親の背中をみて育った若者の働き方に対する意識は、がむ
  しゃらに働くことよりも
仕事と生活の調和「ワーク・ライフ・バランス」へ関心が高まっており、 
  多様で柔軟な働き方を望む傾向が強くなっています。

  
    24時間働くのはしんどい (2014年〜)
    3,4時間戦えますかますか?

  当時の流行語「さとり世代」(車いらない、ブランドいらない、酒飲まな)がノミネート

  欲がないといわれる世代を
  いかに採用し、定着させ、育成していくかが安定的な人材確保のポイントに!

  



(2)上昇し続ける有効求人倍率

  
  有効求人倍率とは、「仕事を探している人」と「人を採用したい企業」の割合
   ・有効求人倍率が1を下回る 「仕事を探している人」の割合が多い状態
   ・有効求人倍率が1を上回る 「人を採用したい企業」の割合が多い状態

   高度経済成長期 ピーク時 1.93倍(昭和48年)
     昭和39年東京オリンピック〜いざなぎ景気(昭和40年〜45年)

   バブル経済 ピーク時 1.46倍(平成2年)
     バブル景気(昭和63年〜平成3年)

   リーマンショック 史上最低値 0.42倍(平成21年)

   平成31年1月現在

     【全国】  1.63倍(全体)1.53倍(正社員)1.79倍(パート)
     【静岡】  1.81倍(全体)
1.84倍(正社員)1.75倍(パート)
     【浜松】  1.79倍(全体)1.95倍(正社員)1.50倍(パート)


     【職業別有効求人倍率】(パート含む)
      ・建設・採掘の職業         5.15倍
      ・介護サービスの職業     4.31倍         
      ・接客・給仕の職業         4.09倍     
      ・飲食物調理の職業        3.49倍
            ・保健医療サービスの職業 3.36倍

      ・自動車運転の職業        3.19倍
      ・商品販売の職業           2.73倍
      ・営業の職業                1.93倍
            ・生産工程の職業        1.91倍
       ・会計事務の職業           0.88倍
      ・一般事務の職業           0.43倍
     
    有効求人倍率は戦後最低を記録したリーマンショック後、約10年上昇が続く
    建設業、医療介護、飲食業、自動車運転手の職業が突出して採用が難しい
    事務職は採用しやすいといえるが、他の職種は人材の取り合いという状況

    
待遇面のみならず、働きやすい職場であることをアピールし
    採用活動していくことが安定的な人材確保のポイントに!



(3)急激に減少する労働力人口

  労働力人口とは、15歳以上で労働する能力と意思を持った人の数

  2019年1月現在の労働力人口は約6,800万人(総務省統計局:労働力調査)
  
  ・何の対策も打たないと2030年には5,300万人まで減少
  ・高齢者、女性、外国人の労働市場への参加が進んだ場合、労働力人口は6,000
   万人相当を維持できる見込み

  団塊の世代が75歳となり、後期高齢者が増大する2025年問題
  団塊ジュニア世代が65歳となり、定年を迎える2040年問題

  超高齢化社会を迎え労働力人口が急速に減少していく中、
  高齢者、女性、外国人の雇用環境整備が求められています。
 


(まとめ)中小企業が存続するための条件


    バブルを超える超人材不足時代

           
                

      労働力人口の急激な減少

           


    人材の採用・定着・育成が企業存続の条件


  
  【安定的な人材確保のポイント】

   @適性検査・適切な入社時面接により、採用時のミスマッチをなくす
     せっかく採用した従業員が「こんなはずではなかった」「もっとできると思ったのに」と
     いった採用のミスマッチをなくすため、CUBIC等を用いた適性検査の導入、
     書類選考や面接の方法の見直しを検討してみませんか?
                                        CUBICについて 


   A長時間労働・休日出勤を前提とした働き方からの脱却
     これまでは業務量の季節変動等を残業時間や休日出勤で調整することはやむを
     得ない部分もあります。しかし、「手戻りが多い」「報連相ができていない」「無駄な
     会議が多い」「属人化」等、残業が増えてしまう要因はほかにもあることが多いと思
     われます。時間外労働削減のための取り組みを始めてみませんか?                                        
                                   時間外労働の上限規制 


   B育児や介護と両立できる多様な働き方の実現
     子育てする女性が活躍できる職場、団塊ジュニア世代が介護のため離職しなくて
     もよい職場を模索することも安定的な人材確保のポイントになるでしょう。


   C期待される役割が明確にされ効果的に人材育成が進む環境・風土
     組織が成立するためには、@共通の目的、A貢献意欲、Bコミュニケーションの3
     要素が不可欠と言われています。(バーナードの組織論)

     従業員の貢献意欲は、共通の目的がなければ発揮できず、共通の目的は、コ
     ミュニケーションを通じて伝達する必要があるというわけです。

                                         人材育成支援


   D仕事内容や貢献度の高さに応じた適切な賃金設計
     日本型雇用制度の終身雇用、年功序列といった賃金制度はこれからの労働者
     にとっては不平等だという認識が生まれてきています。
このような制度は、特に若者
     の労働者にとって会社への貢献とそれに伴う賃金が一致しないため、優秀な従業
     員ほど離職してしまうという状況が今後さらに加速していくかもしれません。


    Eハラスメントのない安心して働くことのできる環境整備
         仕事熱心で自分にも他人にも厳しい人、いままで実績を上げてきた人ほど気づか
    ない内にパワハラをしていたということがあります。組織のルール維持のために必要な
    叱責か、業務上必要な指示命令かハラスメント規程を整備し社内ルールを徹底す
    る必要があります。


  働き方改革に対して、法律で決まったからやるしかないという発想から、
 
人材を安定的に「採用」し、「定着」させ、社員ひとりひとりのキャリアプラ
  ンに適した
育成」をするためのひとつの方策として働き方改革をとらえてみ
   てはいかがでしょうか。


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